若御子十二社宮と将門勝利の霊験
どんな伝承か
荒川村の若御子十二社宮は現存の若御子神社の奥に十二神社があるという。『若御子十二社宮略記』によれば、平親王将門が軍略をめぐらしてこの地に来て社に祈り、速やかに敵兵を除きたまえと願うと、神山から雲が発して敵方に雷風と大雨が起こり、雨水が地に満ちて隅曽原に押切り川ができ、敵は嵐を恐れて寄せられず将門は軍難を逃れた。将門の歌として、神頼む若御子差して誓いせば雨の嵐に敵も退きける、が伝わる。大宮と影森の境の十二神堀は十二社の神が敵を防いだ跡といい、神瀬村の名も歌に由来するという。将門勝利の霊験を語る珍しい伝えで、妙見山とも呼ばれた武甲山や三輪神道との連絡を論じる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。