野辺送りの白手ぬぐいと天の毒
どんな伝承か
著者が直接観察した高知県香美郡物部村の葬送儀礼では、野辺送りのときに会葬者全員へ白い手ぬぐいが配られる。現在は肩にかけるだけだが、以前は頭にかぶったという。葬式に参列した者は死者の生む穢れを負っており、そのまま太陽の下を歩けないからである。死の穢れに日射しが直接触れると太陽が穢れ、天から毒が降って作物を枯らすとされた。白手ぬぐいをかぶることは、日射しから儀礼的に隔離されて見えない状態になることを示す。村人は死穢に感染した状態をブクがかかっているといい、白手ぬぐいはその印でもあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。