葬式にはくアッチゾウリ
どんな伝承か
口に出すのをはばかり、別の言葉で言い換えるのが忌みことばである。本当の地名を呼ばずに名知らずの塚、イワズの森などと呼ぶ類がそれにあたる。伊豆の新島では、葬式のときにはく草履をとくにアッチゾウリと呼んでいた。冥途とまでは考えないにしても、こちらの世界と反対のあちらという意味であり、コチラ・アチラと言うのと同じ使い方だろうと今野圓輔は説明している。物とその名が分かちがたいものと感じられていたことが、こうした言い換えの根にあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。