伊吹山の大蛇の子が大江山の鬼となる
どんな伝承か
鬼の物語の典型が大江山の酒呑童子である。ある伝説によれば、伊吹山の山の神である大蛇(八岐大蛇)と、山麓の長者の姫とのあいだに生まれた子は、生まれたときから髪がふさふさと生え、上下の歯もそろっていたという。この子は比叡山に稚児として出されたが追い出され、大江山に棲みついて鬼となった。多くの鬼を家来とする酒呑童子の一党は、人をさらい人を食らい、現れるときは血なまぐさい風を吹かせ、黒雲や雷を呼んで昼を夜に変える力をもっていた。都の姫をさらったのが酒呑童子だと占い判じたのは陰陽師であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。