小松島市の白黒まだらの小犬による憑依
どんな伝承か
一九七五年ごろ、小松島市のある婦人がこう語った。近所に犬神持の婆さんが住んでおり、白と黒のまだらの小犬が二匹家の前に来てちょろちょろすると、まもなく犬神に憑かれて熱が出て、頭が上がらなくなる。この耳の垂れたまだらの小犬こそが犬神で、婆さんの家にはたくさん飼われていたという。同じ町の六十一歳の婦人も、夢に白黒まだらの小犬が二匹現れると憑かれて翌朝は起きられず、太ももの外側に犬の歯形のような紫の斑点が五つ六つ出ると話している。
原典より
この白黒のまだらの小犬が犬神で耳をたれたのがこの婆さんの家にはたくさん飼われていたとのことであった。—— 徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究)
『徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)』は、徳島をめぐる研究叢書『徳島の研究』の方言・民俗篇の巻で、阿波の犬神を論じた一篇を収める。狸やトウビョウと並ぶ阿波の憑きものとしての犬神について、起源の伝説、正体とされる小犬や鼠、犬神筋の分布と女系の継承、憑依の動機と症状、祈祷による犬神落しを、筆者の聞き書きと室町期の下知状、郡誌や『阿波民俗』などから述べる。七節に分け、昭和期の犬神をめぐる事件と迷信打破の道で結び、末尾に参考文献の註を掲げる。