桔梗の前の密告を憎み桔梗を植えぬ日秀
どんな伝承か
我孫子市日秀に伝わる話。平将門に桔梗の前という愛妾がいた。藤原秀郷は将門と何度も交戦したが、将門はいつも自分とよく似た六人の陰武者を従えて行動していたので、どれが本物か見分けがつかない。困った秀郷がひそかに桔梗の前に尋ねると、陰武者はみな藁人形だから、冬の朝、吐く息が白く見えるのが将門だと教えられた。秀郷はこれを知って将門を射殺したという。そこで将門を慕う日秀では、滅亡のいとぐちを作った桔梗の前にちなむ桔梗を嫌い、これを植える家はなく、植えても花は咲かず、衣服や道具に桔梗の紋様も用いない。
原典より
平将門に桔梗の前という愛妾がいた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。