蛇婿殿
どんな伝承か
富津市金谷に伝わる話である。むかし金谷の田尻というところに緒方倉之助という人がいた。平家の公達の落人の子孫といわれ、俵屋という家号で呼ばれた緒方家の初代である。その美しい娘のもとへ、夜ごと素姓の知れぬ若者が通ってきた。娘が木綿針に糸を通して若者の着物にさしておくと、ほどなく雷雨となり、若者は急いで帰っていった。翌朝、糸をたぐって行方をたどると、鋸山の麓の大棚の洞穴でうめき声がする。声の主は蛇で、やがて悶え死んだ。娘は屋敷近くの池に入水して若者のあとを追う。以後この池は水が枯れず、緒方家は火災にかからぬとされ、代々の娘の右の二の腕にはうろこかあざがあるという。
原典より
昔、金谷の田尻というところに緒方倉之助という人がいた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
平野馨編『房総の伝説』を全245話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。