船頭に財宝を奪われた金売吉次兄弟
どんな伝承か
印旛郡印旛村萩原に金売吉次の墓と伝えるものがある。吉次は十六歳の源義経を奥州平泉の藤原秀衡のもとへ案内したといわれ、金屋を営む長者とされる。その吉次が弟の信高と京都で商売をし、故郷の奥州へ帰る途中、この地で神左近という悪い船頭に財宝を奪われたうえ、兄弟は水中へ突き落とされて死んだと伝える。また同郡本埜村中根の戸崎丘には吉次観音、中根の観音と呼ばれる堂があり、兄弟が信仰していた守り本尊の観音像を安置したものという。ここでは時折竜灯が見え、兄弟の怨霊と考えられていた。
原典より
吉次は十六才の源義経を奥州平泉にいた藤原秀衡のもとに案内したといわれ、金屋を営む長者とされているが、その吉次が弟の信高と京都で商売をして、故郷の奥州に帰る途中、この地で神左近という悪い船頭に財宝を奪われたうえ、兄弟は水中…—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。