大蛇に呑まれた老婆が祟るたんたん清水
どんな伝承か
印旛郡富里村の高松入にあるたんたん清水は、この地方の人々の生活に欠かせない水源であり、水田をうるおしてきた。昔、このあたりで一人の老婆が近くの竹藪で薪を揃えていると、突然大蛇が出てきて一気に老婆を飲んでしまったという。のち土地の者が水を汲みに来たり洗濯に通りかかったりすると、手拭をかむって水を汲む女の姿を見たり、水を桶にあける音が聞えたりしたが、たちまち消えるといわれた。以前は高松入へ嫁入りした者がたいてい三十歳ほどで死んだので、老婆の霊魂の祟りといわれ、供養の石碑を建てて蛇神様と呼んできた。
原典より
印旛郡富里村の高松入にあるたんたん清水は、この地方の人々の生活に欠くことのできない水源であり、また水田をうるおしている。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。