鹿野山のうわばみ
どんな伝承か
君津市の鹿野山では、毎年のように人が姿を消し、ヒヒの仕業ではないかと恐れられていた。寛政三年の夏、煙草を担いだ商人が山裾を通りかかると、不気味な地鳴りとともに大きな蛇が現れ、丸呑みにしようと迫ってきた。商人は木の洞へ身を押し込んだものの、背の荷がつかえて入りきらず、煙草だけを噛みちぎられた。蛇はそのまま姿を消し、商人は命拾いして家路を急いだ。数十日の後、村人が蛇の死骸を見つける。頭は四斗樽ほどもあり、ひどい臭気を放っていたので、煙草の毒にあたったのだろうと噂されたという。『潭海』に載る話である。
原典より
君津市にある鹿野山のうわばみの話が、「潭海」に書かれている。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。