日本武尊の武運を祈る物忌みの行事みかり
どんな伝承か
木更津市茅野の羽雄神社は日本武尊を祭神とする。この地方では十一月二十六日から十二月五日までをみかりと呼び、その間は夜の外出を控え、白い物を外に出さず、戸締まりを固めて灯をともさず物音も立てなかった。藁打ちや縄ないなどの夜なべ仕事もせず、大声で話すことさえ避けた。刀剣や武人を家に入れず、味噌を煮ることも嫌い、二十六日の夜は麦飯を炊いて神に供えた。起こりは、日本武尊が鹿野山の賊を討つため茅野に兵を集めた際、人々が尊の武運を祈って身を慎んだことにあるといい、尊が住民を案じて門戸を閉ざさせたとも、君津市俵田の弘文天皇伝説に結びつけて語られることもある。同様の行事は県南部に広く分布していた。
原典より
木更津市茅野の羽雄神社の祭神は日本武尊である。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。