たばこを呑んで死んだ鹿野山のウワバミ
どんな伝承か
君津郡の鹿野山に大蛇が出るという話が、およそ百八十年前に書かれた譚海の巻七に載っている。書物ではこの山を加納山と記す。山では毎年人が消え、ヒヒという獣の仕業だろうと言われていた。ところが寛政三年の夏、たばこを背負って山の麓を通りかかった村の商人が、山鳴りとともに現れた大きなウワバミに呑まれかけた。商人はどうにか逃げのびたものの、背負っていたたばこは呑みこまれてしまう。のちに大蛇が死んでいるのが見つかり、たばこを呑んだせいで死んだのだと評判になったという。
原典より
君津郡の鹿野山のウワバミのことが、約百八十年ほど前に書かれた『譚海』の巻七に記録されている。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。