鎌の形の花を咲かせる鎌足桜
どんな伝承か
木更津市矢那の山下に、幹は枯れてしまったものの、根株から新しい木が伸びている珍しい桜の古木がある。『鎌足村誌』によると、この桜の花はたいへん美しいうえに形が変わっていて、花びらの先がどれも細くとがって曲がり、鎌のような姿をしていて、ほかに例のない珍しさだという。土地の人々は鎌足桜と呼んで大切にしてきた。著者は、この変わった花にちなんで、かつての村の名が付けられたのだろうと推し量っている。房総の桜では、富津市海良の向山に自生するフジサクラも名高く、その林は国の天然記念物になっている。
原典より
いまは幹が枯れて、根株から新樹がのびている変った桜の古樹が木更津市矢那の山下にある。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。