龍角寺の崖下に埋もれた鐘の井戸
どんな伝承か
梵鐘が沈んだという伝説は房総各地に十カ所ほど伝わる。奈良時代以来の古寺である印旛郡栄町龍角寺には、裏手崖下の土中に寺の鐘が転落したという井戸が埋没していると伝える。市川市国府台の江戸川には鐘ヶ淵と呼ぶ地があり、戦国時代に船橋市の慈雲寺の鐘が里見氏によって持ち出されこの淵に沈んだという。上総や安房にも鐘ヶ淵と呼ぶ池や川があり、いずれも戦乱や洪水が原因で鐘が沈んだと伝えられている。
原典より
梵鐘にともなう伝説のうち、鐘が沈んだという伝説が、房総の地には十カ所ほど知られている。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。