井戸から光った十二粒の真珠
どんな伝承か
玉前神社の祭神は前玉命ともいわれるが定かでない。昔、一宮のあたりの農家の女が夜、井戸で水を汲んでいると水中から五光の光が立ち昇るのを見た。あたりを探すと見たこともない真珠が十二粒光を放っており、女はこれを持ち帰った後、神の恵みと考えて村の社に供えたのが、今も社殿に祀られる十二粒の由来という。『古事談』には、寿永三年正月、源頼朝が鎌倉入りの際、上総介広常の家臣から一封の書を奉られ、その内容が頼朝の祈祷と違わなかったと記されている。
原典より
玉前神社の祭神に就いては、高皇産霊神孫玉前命と言つてゐるけれども、定かではない。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。