旅人の祟り
どんな伝承か
昔々、この村の端を通りかかった一人の旅人が、街道の入口のとある家を訪ねて用を足させてくれと頼んだ。家人が承知したので礼を言い、首に懸けていた財布をはずして庭の榊の木にかけ、用を済ませた。ところがその大切な財布を榊に懸けたまま忘れて去り、この家の主人は儲け物だと隠してしまった。後で気づいて取って返した旅人が、財布を取っておいてくれたかと尋ねても、主人は知らぬとばかりで取り合わない。旅人は、あの金は自分の金ではなく御公儀の御金だからこのままでは申し訳がないと、家の裏の山を越えて川へ身を投げて死んでしまった。それからこの家は、しょっちゅう必ず眼病に罹って病むということである。
原典より
昔昔、此村の端を通りかつた一人の旅人があつたが、街道の入口のとある家を尋ねて、どうか用を足してくれと頼んだ。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。