伏姫が窟
どんな伝承か
安房郡岩井村大字合戸に、凹字の形をなす二峰があり、富山と呼ばれる。海抜千百二十二尺、北峰には金毘羅の祠、南峰には観世音の堂がある。南峰は房州三方の海が見えることから遠見山ともいい、当国第一の険と称される。山上には国札第十二番、富山福満寺の観音堂があり、本尊の正観世音菩薩は行基の作と伝わる。昔、山が崩れて夜ごと光明を放つのを怪しんで訪ねたところ、観世音の尊像が出現したのでここに安置したという。世に伏姫の窟と呼ばれるのは、この南峰の奥深いところにあり、里見義実の息女伏姫が八房の犬とともに籠ったと伝え、曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」はこれに拠ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・江戸~明治時代)
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 安房の巻』を全186話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。