分屬の章魚
どんな伝承か
安房郡保田町大字元名、明金岬に隣る分屬の海で、文明己丑七月朔日の早朝から海の様子が一変した。波は山のように高く、舟の通う道も絶えたという。やがて海から大釜のようなものが浮かび、二十二日の明け方に磯へ寄った。当時十六軒しかなかった分屬の海人たちが恐る恐る近づくと、それは途方もなく大きな釜の蓋であった。漁夫たちが戯れに、二つに分かれたら神として祀ろうと言うと、蓋はたちまち二つに割れたので、驚いて祠を建て金釜明神として祀った。以来この岩場では蛸がよく釣れるようになり、上総側の明金岬では蛸が絶えたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・江戸~明治時代)
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 安房の巻』を全186話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。