頼朝に叱られたツノなしサザエ
どんな伝承か
安房郡鋸南町竜島は、『吾妻鏡』によれば、治承四年(一一八〇)八月二十九日に、石橋山の戦いに敗れた源頼朝が真鶴岬から海を渡り、再起を期して上陸した地である。ここには飯島という大岩があり、頼朝に従ってきた土肥次郎実平らが飯を炊いた所と伝えられている。おもしろいことに、この海岸で採れるサザエには角のないものが多く、その由来も語られている。頼朝が竜島に上陸するとき、サザエを踏みつけて足を痛め、飯島のサザエは生えていても角を持つなと激しく叱った。それ以来、ここのサザエは角なしになったのだという。
原典より
安房郡鋸南町竜島は、『吾妻鏡』によると治承四年(一一八〇)八月二十九日に、石橋山の戦いに敗れた頼朝が、真鶴岬から再挙を期して海路上陸した地である。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。