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足を食われた蛸の報復

所在地千葉県館山市布良
年代伝承
登場漁師の男
出典日本伝説叢書 安房の巻

どんな伝承か

ある時、安房郡富崎村大字布良の磯辺に、大きな蛸が引き潮に取り残されていた。土地の漁師の男に見つかった蛸は岩穴へ隠れたが、穴は体を隠しきれる大きさではなかった。男はその日、蛸の太い足を一本ちょん切り、蛸が出られないように穴を塞いで帰った。食べると大層うまいので、翌日も翌々日も一本ずつ切りに通い、一週間で七本を食った。八日目、最後の一本を切ろうと穴を覗いていると、急に潮が差してきた。潮につかって力を取り戻した蛸は、残る一本の足で漁師の喉に巻きつき、海中へ引き込んだ。男は二度と陸へ戻らなかった。それから土地では、布良の漁師が蛸の足を食って死んだ、蛸は恐いものだ、という歌が歌われるようになったという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))

『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。

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