階段のように連なる布良の千枚畑
どんな伝承か
安房郡富崎村大字布良の浦辺の畑は、山を段々に切り開いて耕地としているため、まるで階段のように見える。房州の俚言に布良の千枚畑というのはこれを指し、下から上まで数も知れないほどの畑がある。一畝に二枚も三枚もあり、最も小さな畑は五升ばかりの種を蒔く程度だという。一軒で五十枚の主人、百枚の主人といえばこの地の大農と伝えられるが、実際は他の村の一反にも足りない反別であるという。糞肥などを運ぶのは土地の女で、小桶に盛って頭に載せ、幾度も山を上り下りする労は甚大であるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。