あかとりを貸して沈められかけた舟
どんな伝承か
大堀に伝わる話である。昔、盆の夜に手操網へ出た舟があった。にわかに時化がひどくなり急いで戻ろうとすると、いつのまにか万灯を飾った大船がすぐ横に付いており、美しい声であかとりを貸してくれとしつこく求めてくる。恐ろしくなった漁師は、一つしかないぞと言い添えて投げ渡した。すると相手は音も立てずに、そのあかとりでこちらの舟へ次々と水を入れ始めた。舟は水浸しになりながらどうにか港へ帰り着いたが、乗っていた者はみな魂の抜けたようにぐったりしていたという。以後この浦では盆に漁へ出ず、沖であかとりを貸さないと互いに戒めた。
原典より
昔、盆の夜に手操網に出た舟があった。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
平野馨編『房総の伝説』を全245話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。