役小角が開いた大房岬の不動明王
どんな伝承か
多々良の海岸に大房という岬が突き出ている。冑を立てたような形で、房州の冠として大房、大帽、大帽子とも呼ばれ、嘉永五年に幕府が砲台を築いた礎も残る。この山には大房山不動明王が祀られている。山は一に明見山といい、文武天皇の御代に役小角が開いた霊地で、聖武天皇の神亀二年の草創、本尊は行基の作と「房総志料続篇」に伝える。大房の名の起こりは、伝説によるものか、文武天皇の御名にちなむものか、今は明らかでないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。