延命寺の七夕の松と焼身の僧
どんな伝承か
安房郡國府村大字本織の延命寺の仏殿の庭に、古松が一株ある。今の松は後に植え替えたものというが、これは昔、延命寺の僧が七夕を祈って精進し、その報恩のために松を植えて七夕を祭ったものだと伝えられている。また仏殿の前、西の方にはひむろの古木があり、碑に清涼殿と彫られている。その碑の後ろには、昔この地の和尚が求聞持の法を修する際、意を決して一七日のあいだ籠ったが、法を果たさずに退いて故郷へ帰り、そのことを恥じて自ら薪を積み、その上に坐して身を焼き、寂を遂げたという。その墓の木であるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。