一夜で青葉を生じた常安寺の杖梅
どんな伝承か
栃尾の常安寺にあった梅。永禄年間、第一代の門察和尚のもとへ一人の老翁が訪れて血脈を乞い、これを授かるとたいそう謝して境内を歩き回り、携えていた杖で庭前の山の裾を穿った。するとたちまち清水が流れ出したという。老翁は塀の傍らにその杖を挿し、「植ゑ置きし梅の主を人問はば みづからいます神とこたへよ」と詠んで去った。翌朝、和尚が見ると杖は青葉を生じていたので、一夜梅と名づけ寺の神木にしたと伝わる。
原典より
永祿年間、この寺第一代門察和尙のとき、或る一人の老翁が來て血脈を乞ひ、和尙これを授けると大いに謝して境内を徘徊して居たが、携ふる處の杖を以て、庭前の山の足を穿つと、清水が忽ち流れ出た。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。