水泳の名人を奪った湯川淵の河童
どんな伝承か
和歌山市直川に湯川淵と呼ばれる淵があった。浮輪門のあるあたりから百メートルほど行った所で、今は埋まって畑になっているが、以前は大きく深い淵で、誰も一人では近寄らなかったという。直川に湯川という医者がおり、日本でも数少ない水泳の名人で、若い者や子供を集めていつも泳ぎを教えていた。あるとき湯川は、子供に教えて一週間ほど後に一人でその淵へ行き、とうとうカッパに殺された。それでそこを湯川淵というようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。