呼べば寄ってくるキジムナーの火
どんな伝承か
読谷の宇座で、十歳ぐらいのころの思い出として語られる。砂糖小屋のあった時代、キビ畑のあいだにニクブクという莚を敷いて夕涼みをした。子供たちは寝ころんだままキジムナーをからかい、砂糖をやるぞと呼ぶ。すると蝋燭の炎に似たぼんやりした火の玉が田の方から近づいてくる。近くまで来ると怖くなり、くそくらえと叫べば火はぱっと消えた。姿は見えないが、呼べば火は必ずやってきて、何度も唱えるといくつも灯り、恐ろしかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。