月夜に倒れて見えた幻の木
どんな伝承か
奈良県吉野郡天川村では、昔から山でゴチゴチと木を伐るような音がよく聞こえたという。ある月の明るい晩、外へ出て耳を澄ましていると、木を伐る音に続いて、カンカンと矢を射るような音がし、やがて木の倒れる音がした。月夜であったから、木が倒れる様子も見えたという。妙なこともあるものだと思い、翌日その場所を見に行ったが、木を伐った跡は何もなかったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。