ナルコ滝の狼食いと塩の返礼
どんな伝承か
話者が十二歳のころ、川釣りに目のない父親について川迫の奥へ出かけ、ナルコ滝の近くにあった曲物師の小屋に泊まり込んで釣りをしていた。滝から一丁ほど先で、鹿が殺されて食べられた跡を見つけた。こうした跡を狼食いと呼ぶ。残っていた肉を取って持ち帰ったところ、その晩は狼がしきりに鳴いてやまなかった。そこで、魚に振るつもりで用意していた塩を肉のあった場所へ置いてくると、鳴き声はぴたりとやんだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。