尾根を通うグリン様と鳴り輪の音
どんな伝承か
下伊那の栗尾根に炭焼き平と呼ばれる場所がある。下栗の久保敷作右衛門という人が、そこに作小屋を建てて住まいとし、山畑を耕していた。ところが夜が更けるたび、グリン様が馬の鳴り輪の音を響かせてこの尾根を通っていく。作右衛門はそれが恐ろしくてたまらず、小屋をツルネからずっと下の場所へ移した。すると鳴り輪の音も聞こえなくなったという。今から七、八十年ほど前の出来事と伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。