雲に乗り太鼓を打つグリン様
どんな伝承か
下伊那郡の下栗に伝わる話。四十年ほど前、尾根の中野観音という所で下栗の人が草を刈っていると、グリン様が雲に乗り、太鼓をガンガラ、ガンガラと賑やかに打ち鳴らしながら通っていった。その日は雨上がりで霧が深く、どんよりと曇っていた。山あいの下栗では霧や雲の行き来が激しく、グリン様が雲に乗るという言い方にも実感がこもる。村では雨上がりの尾根に出てはならないと戒めており、こうした怪異に出会うのは尾根が多かったためだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。