熊猟の岩小屋を夜通し揺すった天狗
どんな伝承か
新潟県中魚沼郡赤湯での話。大赤沢の政五郎という男は話者より十ほど年上の鉄砲撃ちで、熊とりに出て一人でリュー(山小屋)に泊まった。奥から水が流れ込み、その水で飯も炊けるという小屋であった。夜の十二時ごろ、そのリューがガッタガッタと揺れ出した。初めは地震かと思ったが、いつまでも収まらない。「これは地震ではない、天狗だ。おれの信心が足りないので懲らしめているのだ」と考え、オットメをしたり信心をしたりした。信心している間は静かだが、少し休むとまた揺すられる。とうとう夜明けまで祈り続け、朝になると何事もなくなり、翌晩からは揺れなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。