見舞いの道に転がった病人の火の玉
どんな伝承か
語り手の孫祖父が話してくれた、九十年ほど前のことだという。上結束から上がった所に三軒あり、そこを矢平という。矢平の人と、上結束にある語り手の本家の祖父が友達で、その祖父が病気になってからは、矢平の人が毎夜話し相手に通っていた。一週間か十日ほど過ぎたある夜、矢平の人が行くと火の玉が出て、道をコロコロと転がって向こうへ行ってしまった。その家に着いて病人のところへ行くと、祖父は「まあず、今怖かった。人に追いかけられて」と言った。どうも病人の魂が抜け出したものらしい。それからまもなく祖父は亡くなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。