天狗の弟子になった赤岩の助六
どんな伝承か
石川県石川郡白峰村の話。白峰から上の赤岩に笹木助左衛門という家があり、助六という男がいた。子どもの時に天狗にだまされて連れて行かれ、三十三年目に帰ってきた。年が寄って働けなくなったので帰されたのだという。家の者が一番忙しかったのは何かと尋ねると、天狗の親方から飛騨の高山の町を千軒、朝飯前に焼けと言われたのが一番だったと答えた。普通の火は火種に採れず、白峰の風嵐の村で子に乳を飲ませていた母親が寝しなに囲炉裏の薪を足で始末した、その粗末にされた火をやっと採って高山へ持って行き、千軒を焼いたという。助六は薙畑を焼くときには必ず出てきて、指先に唾をつけて畑の間をなぞると、火はそこまで燃えて消えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。