葬式の翌朝に墓に開いていた穴
どんな伝承か
東牟婁郡で聞かれた、五、六十年前の話。八十歳近い人が亡くなって葬式をしたが、皆が寂しがって一人去り二人去りし、埋葬する頃には人手が足りず難儀した。そのあいだじゅう、近くの山でがさがさと音がしていた。狼だろうと言い合った。翌朝、埋葬した所へ行ってみると、直径三十センチほどの穴が開いていて、石を落とすとごとんごとんと音を立てて落ちていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。