裏山のお宮から現れた子牛ほどの怪物
どんな伝承か
高知県土佐市の話。祖父が四、五歳の頃、家の裏山にくびっちょ(小鳥をとる罠)を掛けておき、翌朝ひとりで調べに行くと、あたりでカサカサと音がした。その方を見ると、山の南側にあるお宮の方から、小牛ほどの大きさで茶系統の毛をつけた怪物が、のっそりのっそりと歩いてきて、祖父のすぐ前を通り抜け、そのまま北の方へ消えていった。形は見たことも聞いたこともない、言葉では表現できないものだったという。祖父は生涯その正体が分からず、不思議で仕方がないと語っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。