夜の磯でジャボーンと鳴る猫の石
どんな伝承か
隠岐の島前・須賀の話。昔の須賀には四、五十軒の家があり、夜には明かりを持って浜へサザエやアワビを捕りに出るヨサデが盛んだった。島後の都万にいる姉に送ろうと、話者はお爺さんと二人でヨサデに出て、米俵一杯ほども拾った。その少し先には、猫が石を投げると昔から恐れられた場所がある。のちに娘夫婦も一緒に四人で出たとき、夢中で拾っていると、静かな夜にジャボーンと水音がし、婿が猫がやったと言う。恐ろしくなって逃げ帰った。猫の石か魚の音かは分からないが、昔から猫が石を投げる所と聞いていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。