四キロ先に捨てた猫が三日で帰る
どんな伝承か
山形県東村山郡中山町長崎での話。昭和五十年頃、雌の野良猫が居着いてしまった。おとなしい猫だったが子が生まれると困るので、一日ほど飼ってから捨てることにした。段ボール箱に入れて蓋をし、車の後部座席に積んで、約四キロ離れた隣の寒河江市高屋近くの山裾まで運び、小魚と一緒に置いてきた。途中には最上川があり、長い橋を渡って帰ってくることはあるまいと考えていた。ところが三日後の夕方、その猫が戸口の外にちょこんと座っていた。どうやって橋を渡ったのか分からず、もう捨てる気になれずに飼うことにしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。