去勢の夜から落ちこみ死んだ雄猫
どんな伝承か
神奈川県厚木市の樋口さん宅の雄猫が去勢手術を受けた。獣医は手術は成功したと言ったが、その夜、猫はひどく落ち込んだ様子で娘の部屋のベッドに丸くなっていた。叱って部屋から出すと、猫はますます沈み込んで床下に潜り込み、どうしても出てこなくなった。三日目、樋口さんが自ら床下に入って抱き上げると、猫の体はすでに冷たくなっていたという。雄でなくなったことに深く傷つき、そのまま死んでしまったとしか思えない話として伝わっている。話者は樋口淳の手記、聞き手は松谷みよ子。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。