二匹で一人の女に化けた狸
どんな伝承か
通いが遠いので山に小屋がけして稼いでいた男がいた。真っ暗な闇夜、いつものように飯を食い、火を焚いて引切りの目立てをしていると、姉さんかぶりの若い女が道に迷ったと言って入ってきた。布団も飯もないがと言って炉端に座らせておくと、女はうとうとと居眠りを始め、あくびの声がした。何気なく下の方を見ると、女の下の口があくびをしている。男はそばのまさかりで女の頭を叩きつけ、女は一声鳴いて死んだが、下の方は逃げてしまった。女に化けていたのは二匹の狸で、二匹で一人の女になっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。