事故の娘を呼び戻した弟の霊
どんな伝承か
昭和五十四年頃かという正月の十四日、女川にいる娘が交通事故に遭い、一時気を失って死んだようになった。石巻へ運ばれてレントゲンを撮り終えた頃、ああ寒いなと思って気がついたという。年が改まった頃、足を引きずって医者へ通っていたとき、石巻の神さまと呼ばれる巫女のような人がたまたま来合わせ、娘の顔をしげしげと見て、あなたの家には、あなたと同じ左足を怪我して亡くなった十三くらいの弟がいるだろうと言った。飛ばされて落ちた瞬間に死んだのを、学校へ行く子が二人もいて家が立たなくなると、その弟が一生懸命呼び起こして助けたのだ、家へ帰ってよく拝みなさい、と告げられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。