天雄寺へ通う行列と巡航船の惨事
どんな伝承か
昭和二十一年のこと、雄勝町の天雄寺へ、灯りをつけたり消したりしながら、まるで昔の殿さまの行列のように大勢が毎晩ぞろぞろと通うのが、向かいの部落から見えた。見える者と見えない者があり、何が起きるのかと不思議がられていた。三月二十三日の彼岸の中日、雨の降る中、女川の岸壁に横づけになっていた巡航船金華丸に、米背負いの人々や復員兵が乗り込んだ。もやいを片方放したため船は傾き、水が入って多くが海に落ちた。爪で岸壁をかきむしって死んだ者もあり、三十七、八人が亡くなった。葬式は町のはじからはじまで続き、埋葬が終わると火の玉はぱたりと出なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。