目の玉を捜して車に乗る女の幽霊
どんな伝承か
女川からバスで二つ目の村の古い家のおばあさんが、体を悪くして女川の病院に入院した。一人で寂しがり、誰も来ないと腹を立てて電話をよこすので、娘と孫の男の子、親戚の四人ほどが好物を持って車で出かけた。竹の浦という村の上の曲がり道で対向車と正面衝突し、娘と孫は投げ出されて死んだ。幾日かすると、夕暮れにその道を通る車に女の幽霊がいつの間にか乗り、いつの間にか消えると噂が立ち、車も通らなくなった。拝んでもらうと、死者は木の枝に首をはさまれて目の玉が抜け、それを捜しに通っていると告げた。墓の近くで目の玉を見つけて納めると幽霊は出なくなったという。
原典より
六、七年前(昭和五十三、四年)の話です。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。