田原坂駅の轢死現場を撮った写真館主
どんな伝承か
昭和一九年頃、灯火管制の敷かれる中、田原坂駅近くで鉄道自殺者が出て、植木警察署の巡査から現場写真の撮影を頼まれた写真館の主人がいた。暗闇の中で三脚を立てようとすると、地面に何かやわらかいものが触れる感触があった。手探りで確かめてみると、それは自殺者の腹部だったという。撮影の際は手が震えてしまい、なかなかシャッターボタンを押せなかったと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。