筆跡が違うと偽物扱いされた電報
どんな伝承か
高知県高知市の話。手書きの電報が来ていた時代のこと。東京で勉強中の息子から電報が届き、驚いた母親にせがまれて父親が読み聞かせた。『カネオクレタノム シゲイチ(金送れ頼む 繁市)』とあり、繁市は息子の名であった。ところが聞き終えた母親は『こないだ銭を送ったところだ』と言うなり、父の手から電報をひったくってしげしげと見て、突然素っ頓狂な大声で『お父、これは偽物じゃ。繁市の字と全然違う』と言ったという笑い話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。