エスカレーターを五〇回乗った子
どんな伝承か
終戦直後の池袋、東横百貨店でのことである。当時のエスカレーターには、乗り口と降り口の両方に係の者が立っていた。ある日、冷飯草履をはいた男の子が何度となく乗り降りを繰り返しているので、係が見かねて、さっきから見ているが坊やは十三回も乗っただろうと声をかけた。すると男の子は、違うわい、五十回だいと言い返したという。この百貨店は現在の東武百貨店にあたる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。