水洗便所の水で手を洗った女工
どんな伝承か
昭和初期、兵庫県洲本市のある紡績工場の女子寄宿舎に水洗便所が導入された。当時の水洗便所は洗浄用の水が流れる箇所が用便の場所より少し下がったところにあり、それまで汲み取り式しか知らなかった田舎出身の女子工員の何人かは、用便のあと、うつむいてその洗浄用の水で手を洗ってしまったという。この失敗談は後々まで語り草になったと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。