芸を吸いとられると恐れられたラジオ
どんな伝承か
ラジオが始まったばかりのころ、役者の中には、電波に乗せると機械に芸を吸い取られてしまうと言って、出演をかたく断る者がいた。そうしたなかで六代目菊五郎はラジオに強い関心を寄せ、たびたびマイクの前に立ったという。好奇心の旺盛なこの役者は、ラジオが世に出たことによって、これから先、模倣音すなわち効果音の世界は大きく変わっていくだろうとも語っていたと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。