日の丸を持ち真赤に現れた夫
どんな伝承か
第二次大戦中のこと。結婚して一年目の夫に召集がかかり、弘前の部隊へ入った。妻は弘前まで会いに行ったが、その時点では配属先が決まっておらず、分かり次第知らせる約束をして別れた。ところが手違いで知らせのないまま、夫はフィリピンへ発ってしまった。ある日、妻が囲炉裏ばたで急に居眠りに落ちた。すると夢とも現ともつかぬまま、目の前に男が現れた。手に日の丸の旗を持ち、全身が真っ赤だった。夫はそれきり帰らなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。