読めない軍事郵便の夢と兄の戦死
どんな伝承か
昭和十八年五月の末、報告者は夢を見た。心待ちにしていた兄からの軍事郵便が届いたものの、文字があちこち消えたり破れたりしていて少しも読めない。苛立って裏返したりしているうちに目が覚め、全身汗まみれだった。気にかかりながらも忘れかけていた一か月後、兄と同じ部隊名の書かれた一枚のはがきが届いた。見知らぬ人から兄の戦死を知らせるもので、夢の中で見たはがきとそっくりだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。